プラハの休日

フランクフルトに到着してから、コンサートやオペラなどヨーロッパの音楽に触れる機会がいくつかあり、ドイツのインゲルハイムではオーケストラによる映画音楽、チェコのプラハではオペラを鑑賞しました。
それぞれの演目が素晴らしかったことはもちろんのこと、豪華な劇場の内装も印象的だったのでご紹介をしたいと思います。
プラハに到着してから2日目に、チェコ国立歌劇場で「椿姫」(ラ・トラヴィアータ)を鑑賞しました。オペラは見たことはなくとも、この名前を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。フランスの作家デュマの小説を原作に、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した音楽と物語とも素晴らしい作品です。主人公のヴィオレッタの切なく、悲しい運命が描かれており、音楽と美しい歌声に包まれた感動的な時間を過ごしました。
後日過ごしたスイス、バーゼルで友人の奥様がオペラ歌手で長女の名前がヴィオレッタ
とお聞きし、大いに盛り上がったことも付け加えさせてください。
そして、3日目にはプラハのEstates 歌劇場で「フィガロの結婚式」を鑑賞しました。日本でもよく上演されている演目の1つではないでしょうか。モーツァルトとイタリア人台本作家ロレンツォ・ダ・ポンテが共同で制作したこのオペラは、伯爵の家来であるフィガロと女中のスザンナの結婚の日に起こった騒動を描いています。モーツァルトのオペラの中でも最高傑作とされており、いたるところに「笑い」が仕込まれています。そのせいか、「椿姫」と比較すると、軽快でコミカルだったように思います。フィガロのアリア「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」など、モーツァルトの音楽が随所にあり、生命力のある音楽にどっぷりと浸るひとときでした。
さらに、ドイツのインゲルハイムでは映画音楽のコンサートを鑑賞しました。バラエティに富んだセレクションで、聴き慣れた音楽の中に、初めて聴いた音楽もあり、楽しく聴いていたように思います。特に印象的だったのは、貧しい境遇から一途な愛を糧に花街一の芸者となったひとりの日本人女性の激動の運命を描いた「Sayuri」の映画音楽です。静寂さの中にもSayuriの激しさや芯の強さが垣間見えるようなメリハリがあり、奥深い物語を感じました。
これらの鑑賞体験を通じて、観て、聴いて、物語を五感で感じることの面白さやイタリア、ドイツなどのヨーロッパや日本の文化的なつながりを感じることができました。上映中にふと目を閉じてみると、耳からの情報だけで目の前に素晴らしいシーンが拡がるような “See by Ears” の体験も味わえたように思います。五感が研ぎ澄まされたこれらの経験は、忘れることができない宝物です。